テレビがうちにやって来た!
またまた「逃げ」なるものが近所でありました。イマドキの日本ではほとんど聞かないこの言葉。でもエルサレムでは 「ふーん。じゃ、なんか置いていったかも。見てこよう。」 というごく普通の反応。以前住んでいたアパートの隣りの住人も5ヶ月家賃を滞納したのち、大家に「即日立ち退き宣言」を受け渡されて、その日の夕暮れ過ぎには大家は彼の荷物はすべて路上に放り出して、はい、おしまい。
そう。今回の夜逃げのおかげで、そこの住人の置いていった家財道具の中からテレビが貰えることになり、さっそくちゃっかり家に持って帰ってきた。エルサレムに来てから早や5年。今まではテレビのない生活でまったくよかったのだけど、こうも続くストやあちこちで起こる一般市民を狙った自爆事件が相次ぐのでは、やはりニュースはいつも見れるほうがよい。
5年ぶり、のテレビとあって、なんだかやたらドキドキワクワク。テレビをリビングの真ん中にドンっと置いてコンセントを差し込んでみると・・・うーん、テレビ君。なにか一生懸命に映し出そうとしてはいるみたい。・・・あれ?まさか・・・・・。白黒?と、ぼーっとした映像が2、3分続いて、お、よかった。なんだか色が付いてるよ。カラーだ。うん、とりあえずはきれいな映像。まあ一応、現代のテレビだからそれで普通なのだけど。
画像がクリアになったところで、急いで12個並んでいるチャンネルのボタンを押してみる、が・・・・。ん?なんだ、これ?最初の1と2のチャンネル以外は全部砂の嵐。3にはかすかな反応。どこかのアラブのチャンネルのよう。ああ、そうか。国営放送がチャンネル1で、2が民営ということか。あらら、たったの2局?とガッカリ。でも四国ほどの大きさの国ゆえに、これにはすぐに納得。そしてチャンネル1のゴールデンタイムのほとんどはニュース、ニュース、またニュース。民営のチャンネル2でも、映画のど真ん中、なんの前触れもなくいきなりニュースが5分ほど入って来る。そうか、なるほど。やはりそんなに国民はよくニュースを見るのかとちょっと政治への関心の高さに感心。が、しかし、それもつかの間のこと。英字新聞『 The Jerusalem Post 』のテレビ番組表をよくよく見てみると気がついた。そうです。番組が日本のように時間の枠にキッチリとはまっていないことに。だからおかしなことに映画のど真ん中でニュースなんてことになって、シンデレラの魔法が切れる12時になると番組が何であろうとニュースのお時間がやってくる。そしてなんと、番組表と実際の放送番組や放送時間がちがっていることは日常茶飯事で先週放送のはずだった映画が今週放送されたり、またその反対だったり。じゃあ一体これって何のための番組表?そりゃあ単なる目安でしかない。なんじゃそりゃ、と思わず自分で突っ込んでしまってテレビは家にやって来た。